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Show Notes
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小学校の靴箱で上靴を履いていると、朝から嫌な奴に会ってしまい、私の気持ちは色で言うと灰色になりました。こういう時はブルーっていうのかもしれないけど、青色は好きだから。
「お、頭おかしくなったやつが来たぜ!」
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校舎の方から聞こえてきたし知性のかけらもないその声に、私はこれみよがしに溜息を吐き、言ってやりました。
「頭がおかしてくなった私よりテストの点が取れないあなた違わ、本当に頭が悪いのね。新発見」
馬鹿なクラスメイト達数人の怒った顔で溜飲を下げておいて、私はこれ以降の会話を全て拒否します。あいつらに何を言われても無視していると、やがて「びびってんじゃなえ」とかなんとか、日本語を知れることを褒めてあげたくんあるようなことを言ってから去っていったので、やっと上靴を履き終わって校舎に足を踏み入れます。
と、「おはよう、小柳さん」
灰色な私のステップを、1つの声が後ろからひきとめました。
クラスメイトに、私の表情は一転します。
「あら、おはよう、荻原くん」
「昨日あれ読み終わったよ。トム・ソーヤー。とっても面白かった」
「あらそう。それは良かったわ。どこの場面が好き?」
「ペンキの話かな。あと僕はトムがとてもかっこいいと思う」
[1:43]
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「誰かにトムは魅力的ね。頭も良くて」
「ハックも好きだな」
「宿なしハックね。そういえば、私これから」と、そこまで言いかけて、言葉を止めました。理由はおばあちゃんから聞いた話を独り占めしようとしたのではなく、荻原くんの後ろから男の子が走ってきて彼に軽くぶつかったからです。驚く荻原くんに、私は背中を向けます。彼は背中を見てはいないでしょう。荻原くんにぶつかってきた男の子は、彼ととても仲の良いクラスメイトで、仲が良いから男の特有のスキンシップで、彼にぶつかったのです、決していじめではありません。荻原くんが、いじめるわけもいじめられるわけもありません。彼には友達が多いから。
対してクラスに友達のいない私は、こうして背を向けることを選びました。でも私も別にいじめられてるわけじゃありません。ただ、なぜだか荻原くん以外のクラスメイト達は私を苦手に思っているが、嫌いに思っているみたいなのです。一度も、皆にいじわるなんてしたことないのに。
だから私は、荻原くんの友達を気づかって先に行ってしまうことにしました。男の子同士の友情に、女の子は入り込めないものなのです。
「3:18」
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教室に行く前に、私には寄るところがありました。図書室です。私の行っている小学校来るまでのあのうるさい時間を、私わ静かな図書室で過ごします。
図書室に入ると、本達の持つ時別な匂いと、優しい図書室の先生が私を出迎えてくれます。私は、昨日おばあちゃんから聞いた「ハックルベリーファンの冒険」が置いてあるかを先生に訊きました。すると先生はとある本棚の前に私を案内してくれたので、そこからは自分で本を探します。「本が好きなら、探す時のドキドキする気持ちも楽しみたいでしょつ」と図書室の先生は前に言いました。その通りだと思います。
私はすぐに「ハックルベリー・フィンの冒険」と見つけて、指の先が痺れるようなわくわくと一緒に手に取り、ライドサルを下ろして近くの席に座りました。
最初のページを開く時の、他のどんなものにもたとえることの出来ないこの気持ちをきっとクラスで私と荻原くんしか知らないのでスカラ、もったいないことです。
私は、宿なしハックの物語に、一人小さな一歩を踏み出しました。
図書室は静かだし、いい匂いがするし、先生が優しいし、とてもいいところです。でもこの場所にも一つだけ行けないところがあります。
それは本に夢中になりすぎてしまうというところです。
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私は図書室の先生に声をかけられるまで、自分が小学校にいることを忘れてしまっていました。朝のチャイムが鳴るちょっと前、今日も先生に名前を飛ばれ、久しぶりにこの世界に戻ってきた私は「ハックるベリー・フィン冒険」を散りてランドサルに詰め、図書室の先生と本達に一時の別れの挨拶をしました。
私は学校についたときよりも騒がしくなった廊下を歩いて、階段を一段ずつぼり、3段にある教室に向かいます。
教室の前につくと、廊下を走る男子達がいたのでお互いに無視をし合ってから、教室に入りました。私が教室にきたことなんて誰も気にしません。私はいつもとおのじように一番後ろにある自分の席に一直線。ランドセルを置いて椅子に座ります。
隣の席に座る桐生くんは、私の到着に気がつき膝の上のノートを慌てて閉じました。
「おはおう、桐生くん」
「お、おは、おはよう、小柳さん」
彼はいたずらを怒られる時みたいな早口と一緒に、閉じたノートを机の中にしまいました。
「何を描いてたの?」
「な、なんでもないよ」
「6:42」
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「嘘です。隣の席の桐生くんが嘘をついているのを私は知っています。彼は絵を描いてのです。彼は授業中もよくノートに落書きをしています。上手く隠しているつもりなのかもしれないですが、隣に座っている私からは丸見えです。
彼にはとても素敵なえを描く才能があるのでもっと周りに披露すればいいのにと思うけれど、彼はそれをしてません。大人しく絵を描いているのを、綺麗な男子達に揶揄われたことがあるからです。何度も、何度も。
「桐生くん、人生って虫歯と一緒よ」
「ど、どういう意味?」
「嫌なら早めにやっつけなきゃ。今度絵を描いてるのを揶揄われたら、あいつらの顔に唾を吐きかけてやればいいわ」
ランドセルを後ろの棚にしまって、もう一度椅子に座ってからそういうと、桐生くんは私の方を見ずに、「む、無理だよ」と小さな声で言いました。
私が「そんな弱々しい態度じゃ駄目よ」と桐生くんにアドバしうをしたことろでチャイムが鳴り、同時にひとみ先生が教室に入ってきました。皆、ひとみ先生が大好きのので、先生が教室にいるだけで空気がぱっと明るくなります。
「おはようございます」
「8:18」
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「おーはーよーーうーごーざーいます」
クラス委員をやっている荻原くんの号令でひとみ先生に挨拶をして、今日も学校でのつまらない一日が始まりました。
一時間目は算数、2時間目は社会で、3時間目に、昨日先生から私だけが聞いていた幸せについての授業がありました。私は「実は昨日から知っていたのよ」と自慢したくなりましたが、先生に内緒だと言われたので、授業のこともチョコレートのことも秘密に指定おきました。
教科書に載っているお話を読んで、それからお話の主人公の気持ちなどを考えていると、幸せについて考える間もなく五十分はすぐに終わってしまいました。するとひとみ先生が今日は4時間目も3時間目の続きをすると発表しました。私は、たった五十分の授業では足りないわ、と思っていたのでひとみ先生のアイデアにとても納得しました。
4時間目の授業では、早速それぞれの幸せについて考えることになりました。二人一組になって、自分が幸せに感じることを言い合い、集めてみるのです。
私はペアは、隣の席の桐生くんでした。桐生くんは自分からはなかなか喋らないので、私が話し合いをリッドします。
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「昨日ね、クッキーにアイスを乗せて食べたの、その時に、幸せを感じたわ」
「へえ」
「桐生くんは、何かあった?」
「僕は、えっと、おばあちゃんの作ったおはぎが美味しかったよ」
「確かにおばあちゃんの作るお菓子っていうのは美味しいわね」
「うん。お母さんの作ってくれるお菓子も好きだけど、おばあちゃんのとは、種類が違って」
「お母さんがお菓子を作ってくれるの?いいわね。私のお母さんは夜まで家にいないから」
こんな風に私達は二人で色々なことを言い合い、ノートに書きました。作業は順調でだけ幸せのことについて喋っても、私が本のことについて言いも、桐生くんは絵を描くことについて何も言わなかったのです。不思議に思ったので訊いてみました。
「絵を描いている時は、幸せじゃないの?」
「え、ど、どうかな。好き、だけど」
「じゃあそれも幸せの一つね」
[11:17]
40
「で、でも、描いて、たら、馬鹿にされるから」
「関係ないじゃない」
思ったよりも大きな声が出てしまって、桐生くんだけじゃなく、クラス全体の空気が私に驚いた見たいで、自分も驚いてしまった私はこっちを見ていたひとみせんせいに「ごめんなさい、盛り上がっちゃったの」と言いました。
ひとみ先生の「皆をびっくりさせないようにね」という優しい声でまた教室がわざわしはじめたのに紛れて、私は改めて「そんなの、関係ないわ」と桐生くんに言いました。
そしてノートに、素敵な絵を描くこと、とメモをとりました。桐生くんは、うつむいて何も言いませんでした。
4時間目が終わって、給食時間も終えて、私は昼休みを図書室で過ごししまた。朝よりは多少騒がしくなった図書室ですが、教室よりはよほどいちご居心地が良くて、宿たしハックとの冒険にのめりこむとができました。
昼休みが終わるチャイムが鳴ると、掃除時間になるので教室に帰って方きをもちました。桐生くんも同じグループで、先に教室の掃除にとりかかっていました。
私達が真面目に掃除をしていると、あの馬鹿な男子が運動場から帰ってきて「お前ら絵描いたり本ばっか読んでたり気持ち悪いんだよ」と頭が悪すぎることを言ったので、私は「気持ち悪いってあんたの顔って意味よ?知ってる?」と返してあげました。桐生くんにもいい返すように目で合図しましたが、彼はやっぱり何にも言いませんでした。
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5時間目も6時間目も終わって、やっと帰りの会の時間が来て、心持ちにしていた私は「ふう」と息をつきました。あとは先生と挨拶をして終わり。そう考えていたのですが、先生からとても重要なお知らせがありました。
「再来週、授業参観があります。皆のお父さんやお母さんには前からお知らせてあったんだけど、皆のいつもの学校での様子を見てもらうとても大事な日だから。今から回すプリントをきちんとお父さんお母さんに渡してね。これは先生との約束です。皆、いい?」
「はあい」という皆の声の後、前の席からプリントが回っていました。私はその内容を読んで、うきうきしながら鞄にしまいました。私は授業参観が好きです。私のとこてもかしこい様子をお父さんお母さんに見えてもらえるから。
今度こそ学校が終わって、今日はひとみ先生に飛び出されることもなく、私はいつもと同じように一人で家に帰りました。そしていつもと同じようにランドセルを部屋に置いて家を出ようとして、大事なことを思い出しました。私は部屋に戻ってランドセルから授業参観のプリントを取り出し、リビングのテーブルの上に置いて、改めてお出かけをすることにしました。
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マンションの外では、いつもように尻尾のちぎれた友達が持っていました。「ナー」と鳴く彼女に挨拶をして、大きく流れる川に向かって一緒に歩きます。
堤防にのぼると、今日もまた気持ちのいい風が私の髪と彼女の短い尻尾を揺らします。とてもいい気分になった私達は、一緒に歌いました。
まもなく、歌声と一緒にクリーム色のアパートに到着、いつものドアの前に立ってチャイムを鳴らします。一度め、何も聞こえてきません。2度目、ドアは聞きません。三度目、チャイムと一緒に彼女が足元で鳴きましたが、何も返ってはきませんでした。
「どうやら、今日はアバズレさんいないみたい」
「ナー」
アブズレさんは忙しくてので、いないこともままあります。残念な気持ちは風に流し、私達は諦めて、来た時とは違うで戻ることにしました。もちろん帰宅するわけではありません。アパズレさんの家から向かう先は、いつも決まっています。
私達は大きおうちや小さいおうちの間をまた歌いながら歩いて、間もなく私の住んでいる大きなマンションの前を通り過ぎ、いつもの道を通って裏手にある丘の方へと向かいます。道すがら、近所に住む人達にあっては挨拶をしたのですが、無愛想な彼女は短い尻尾をゆらゆらさせるだけで、つーんと顔を逸らしていました。
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「あなた、人間相手ならまだしも、猫の世界でもそんなんじゃ嫌われるわよ」
彼女はまるで聞こえていないかのように私の先を歩き、丘の入り口に着くやどんどんと木と木の間を登っていきました。
そしていつもの広場、木で出来た大きな辿り着き、私達は早速玄関のドアをノックしました。
一度めのノックに、返事はありません。
その後何度もノックをして、ドアノブを回し、木のいえの周りをぐるぐるこ回りましたが、おばあちゃんはどうやら留守にしているようでした。
私は空っぽの木の箱の縁に座って、短い腕を組みました。
「アバズレさんもおばあちゃんもいないっていうのは珍しいわね」
「ナーナー」
彼女は食べものが貰えないことを悲しんでいるようでした。
「悲しんでばかりもいられないわ。人生とは給食みたいなものだもの」
「ナー」
「好きなものがない時でも、それなりに楽しまんくちゃ。そうでしょ?」ということで、彼女は納得していないようでshたが、私達は丘を下ることにしました。
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もしかすると、出かけているおばあちゃんとすれ違うかもしれないと思ったけれど、そんなこともなく、私達は下の公園まで下り出来ました。公園では、私より小さな子達がお母さんに見守られながら、かけっこをしています。
さって、どうしたものかしら。私は考えます。尻尾のちぎれた彼女はよほど期待を裏切られたのが悲しかったのか、私の足元でごろごろと転がっていました。
私は彼女の代わりに賢い頭で考えました。そして、一つのことを思い出したのです。
「おばあちゃんの家に行く途中に、分かれ道があるわね」
「ナー」
「そういえば、もう一つの方は言ったことがないわ。行ってみましょう」
まだ他面に横たわっていた彼女の背中をつま先でつつくと、彼女はしぶしぶといった風に立ち上がり、大きなあくびをして再び坂道を登りはじめました。
彼女の後ろについて、じんわりとおでこに汗をかきながらのぼっていくと、やがて私の言った通り二つに分かれた道が現れました。いつもは右に行くのですが、今日は初め左を選んでみます。よく見ると、右の道はゆるやかな段になっていました。運動をすると彼女の機嫌もよくなったようで、私の前をぴょんぴょんと進んでいきます。猫なんてて気楽なものです。
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五分くらいでしょうか、少しずつ木の匂いが濃くなっていくの感じながらのぼっていくと、壊れた鉄の門が現れました。魔法のように現れたその門は、数センチたけその口を開けていました。
手をかけると、ざらざらとした手触りのそれば、しゃがれた声で鳴きながらゆっくり動きます。私は少しだけ迷いましたが、尻尾のちぎれた彼女と目をあわせ、せっかくことまで来たのだからと、門の奥に進んでみることにしました。一応、怒られても許してもらえるように、斜め上を見て舌を出す練習を何度かしておきます。
門の中に入ると、今までとは違うきちんとした石の階段がありました。
しっかりと石を踏みしてのぼっていくと、やがてその階段は途切れ、私達は砂利が敷き詰めれた広場のような場所に来ました。
私は、そこで目の前に現れたものに驚いて、ここらへんの空気を一気に飲んでしまいました。足元の彼女は驚いたのかどうかわかりませんが「ナー」といつも通りに鳴きました。
「こんなところに、こんなものがあったのね」
おばあちゃんの家とは反対側の道の先に、おばあちゃんの家とはまるで正反対のものがありました。それは四角い石の箱、みたいな建物。壁に空いた窓みたいな穴を見ると、2階建てのようで、でもそれが元々なんなおかは全くわかりませんでした。模様も文字もないうその建物まさにただの石の箱に前たのです。そこには、木で出来たあの大きなおばあちゃんの家ような暖かさはどこにもありません。
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建物に近付くと、入り口と思われるところにはドアすらありませんでした。私は少し迷ってから、ただぽっかりと空いた穴を恐る恐るくぐります。尻尾のちぎれた彼女は緊張なんて食べちゃった様子で、悠々と建物の中に入っていきました。内緒ですが、私はちょっと怖かったので小さいな友達の後を追うことにしました。
まず、一階を見て回ります。一階に部屋というものはありませんでした。全ての床が繋がっていて、どこも空っぽでした。人がいる雰囲気なんて、一つも感じられません。ただ、真ん中にある階段だけがこの箱が建物なのだと、上に行くしか道はないんだと言っている気がして、私と彼女は勇気を出してゆっくり階段に足をかけ、それを登りました。。今日はよく登ります。
2階も、空っぽでした。窓みたいな四角い穴はやっぱり窓だったみたいで、時々ガラスの破片を見たところで、ああこ建物にはもう何もないんだわ、と思いました。本当は怖いからそういうことにしておいて、早く外に出たかったことは秘密です。
なのに私がすぐに外に出られなかたのは、もう一つ上にのぼる階段を見つけてしまったからです。階段を見上げると、上に空が見えたので、屋上があるのだと分かりました。私は足元の彼女ともう一度顔を見合わせて、屋上に行ってみることにしました。
一歩一歩、ほこりのたまった階段に私達の足跡がきざまれていきます。屋上の高さに顔が出ると、まず日差しが顔を叩き、風が私を慰めてくれました。
それから、体操座りで手首にカッターをの押し当てている女の人と目が合いました。
この日、心底驚いた時、人の時間は止まるということを私は覚えました。
そして、一瞬の後、時間は急速に加速します。
「うわあああああ」
「うわあああああ」
「ナー」
これが、私と南さんの出会いでした。
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